オープニング
◆ミドルヘイムの明日のためのスクランブルだ!
伝道の旅が始まった。
女神教の教えを広めるべく、第一の目的地とされたのは、リムランドの寒村だ。
ハウンドが布教するのではない、高名な伝道師を護衛し連れていく。
伝道師というか、パラのシャロームくん、見た目はコドモ、中身はオトナらしいが、彼の説教は素晴らしいという‥‥ウワサだ。
しかし、旅の中では、シャロームくんは清貧の精神とは程遠く、起きたら迎え酒、寝る前には寝酒と、終始酒をかっくらって酔っ払う。
さらに、ハウンドの体格のいいものには、疲れたからおぶれ、女性陣には、温かいものを作ってくれと言い出す。
ワガママと言うか子供じみている。
パラに詳しいものは、まあパラだから子供じみているという。
見たところでは、彼は十代初めの少年にしか見えないのだ。
多分、中身もそれに引きずられているのではないか、という事。
ともあれ、シャロームくんに対して、シフールのガーベラが思ったのは──。
「ごえいやのうて、こどものおもりやで」
多分、それがハウンドたちの多数派意見。
とはいうものの、道を往けば、そこは森の中だ。
殺気を感じるものが警告を発する。
そこで、3人の半人半馬のエルフィン、セントールに襲われる。
カールした黒髪、美しい黒い馬身。
しかし、蹄の音は響かない。雪の上を歩んでいる訳ではないのだ。
そう、空を浮きながら突進してくるのが、ふたり。後ろで弓に矢を番えるのがひとり。。
「何も生産せず、まがいものの言葉を振り撒いて、酒に溺れる寄生虫めが。まとめて地獄へ行くがいい」
先頭のひとりが、突進しながら宣言。それ以上は問答無用のようだ。
「戦いはやめよう。誰も幸せにならないよ?」
シャロームくんがハウンドの後ろからそう言うが、逆効果だったかもしれない。
「させへんで! このしごとは、としこしのためのだいじなおぜぜや!」
ガーベラが叫びつつフェアリーボウに矢を番える。
ともあれ、シャロームくんを守りつつ、セントールをどうにかせねば。
ハウンドの年末戦が──始まる。
選択肢
マスターより
Xmasだ、皆の衆。最初(ハナ)は俺が斬らせてもらうぜ!
セントールだけにハナという、ギャグではないです。
さて、今回ですが、黒いセントールとのバトルでしょうね‥‥?
話合いは聞いてもらえそうにないですが、それでもあきらめを踏破するならば──と、いう方もいるでしょうね。
なので、今回は選択肢cを選ぶことで、説得するという方向も入れてみました。
また、選択肢bはシャロームくんの護衛も含んでいます。
なお、セントールがチャージングをしてくるような気がします。シャロームくんを一突きするでしょうね。
では、皆さんがサンタになれますように。
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登場キャラ
◆そらとぶもの
空飛ぶ半人半馬──ダークセントール!
スピアをもった黒き半人半馬が突撃をしかけてくる、相手は戦技魔法に頼らずに戦技を使いこなす。
しかも、空中で、だ。
「機動力と長射程‥‥なかなか厄介そうな相手ですね? しかも、空中で静止も出来るかもしれません。小回りが利くかも」
冷静に、
ベドウィール・ブランウェンが現状を分析する。
「突撃には突撃じゃ! ちと頭を冷やさんかい!!」
敵を吹っ飛ばすか、最悪、軌道を反らすという意気込みの、
ソーン・イワオだが、手裏剣を構えるので手いっぱい。
「やはり、むこうがスピードでは上か」
ダークセントールの側面を突こうと、黒いエルクに乗った、
ベンディッカ・ブラステリーが大きく回り込む。
「機動力勝負で負けているか‥‥おまけに相手が空中ではそうもいかぬのであるな」
その後ろでためいきひとつ。
「こういうこともあるわよね‥‥折角のオシオキが」
ハウンドたちがダークセントールと接敵する前に一撃浴びせようと高速詠唱でファイアボムを成就しようとして叶わなかった、
アルマリア・アリアンロッドが大空を仰いでいる。
一方、その後ろでは──。
「‥‥馬マッチョ‥‥なの? 解呪アリなら気絶狙いでいくね! ‥‥近くに泉とか──あったけど、濁ってるなぁ」
幼なじみのべドウィールにミタマギリの魔法を付与してもらった、
リザ・アレクサンデルは、ザフィーアの首輪の力を用いて、ブレードofローレライの力をアレンジ、ダークセントールたちを間合いに収め、後は突くのみとなった。
後ろで女性陣に守られているシャロームくんを見て、一言だけ呟いた。
「知ってる‥‥こういうのナマグサっていうんだよね」
そして、ダークセントールに向き直る。
「歌えローレライ! ‥‥しかし、馬マッチョ‥‥ウマッチョ‥‥えっ、いやなんでもないない!」
精神集中が途切れたようだ。
どうも、シャロームくんといると、ペースが乱れる。
「カールした髪‥‥カリカリ‥‥ああ、雑念ばっかり!」
先頭のひとりが空中から、シャローム君目がけて突撃!
◆盾の乙女たち
(まあ、あれね。能力と性格は必ずしもセットにはならないってやつね‥‥シャロームくん見ているとよくわかるわ)
と、思いつつも、シャローム君の前に出るのは、
マリカ・ピエリーニだ! 彼女が前に立ちはだかり、初撃を受け止める。
盾を構えていた腕が熱を帯びる。毒ではない、それだけの猛烈な突撃だったのだ。
(骨までいった‥‥?)
しかも、それだけの猛攻撃をしても、ダークセントールにスキは出来ない。
続けてふたり目!
「させないんだから! ちっちゃい子をいじめちゃダメっ!‥‥え? 変?」
吹っ飛ばされた、
ユナ・プリセツカヤ。それでもシャロームくんは無事だ。
「シャロームくんはまだちっちゃいのにガンバってるんだから‥‥ちょっとワガママでも仕方ないじゃない! だって、あんな小っちゃいんだよ──子どもはみんなで守ってあげなきゃいけないのに‥‥なんでそんなことするのっ!」
「邪悪だからだ」
ダークセントールは断言した。
「コモン死すべし、慈悲はない」
させないよ! と、ふたりがシャロームくんの盾となる。
「みんなで幸せになろう、君もいれてね?」
シャロームくんも尻餅を突きながら、ダークセントールに話しかける。ダークサイドとは思っていない、未知のコモンとして扱っているのだ。
「やっぱり、色違いとか、全体に黒い奴には、ひとまず解呪を試みたい」
立はだかる、
リコ・ポートマン。
「今、その邪悪な呪いから解き放ってあげます。そこのシャロームくんのように!」
◆おかえり
道中でリコはシャロームくんに大きな疑念を抱いていた。
「シャロームくん、パラは見た目から子供っぽいと言われたりするが、僕の知っている彼らの子供っぽさは、わがままってことじゃない」
断言するリコ。
「もっと、純朴というか、単純というか‥‥」
「え! なんやねんそれ?」
おどろくのは、
ガーベラだった。
「うーん、もともとこういう性格だよ」
そこで爆発音がした、チャージし駆け抜けていったダークセントールを、アルマリアのファイアボムが捉えたのだ。
ハウンドたちの反撃が始まる。
──とはいえ、アルマリアという火力担当が仕事をするだけで終わる。
「熱いわね、ココロもカラダも」
汗をかいた、アルマリアが胸元に風を送り込む。
ガン見するシャロームくん。
ともあれ、マリカがダウスケイルアーマーの特殊能力を使用する前に、戦いは終わった。
弓を持っていたダークセントールは逃げ延びた。槍を持った片方は重傷を負い、片方は魔力を失い気絶している。
「今苦しみから解き放ってあげます」
リコがリムーブカースで魂を癒し、治癒の力を秘めた魔法のメイスで傷を治す。
「どうします、一緒に来ますか?」
問うリコに対し、ダークセントールたちは頭を下げた。
「これからは森の中で静かに暮らす」
「ありがとう。でも、今はそっとしておいてくれ」
リコは最後に声をかけた。
「『コモン』はいつでも皆さんの帰還を待っていますから」
邪神の呪いから解き放たれた『セントール』たちは、自由と孤独を得た。
◆さあ、しあわせになってみようか?
「女神さまは、たしかにみなさんを見ています。だからといって、女神さまが全てを丸くおさめては、みなさんには成長の機会が‥‥」
リムランドの寒村でシャロームくんの伝道が始まる。
厳格な教義一辺倒ではなく、むしろ現実に即した言い方を好むようだ。
最初は、シャロームくんを珍しいものを見るだけに思えた、聴衆の輪が少しずつ、だが確実に大きくなっていく。
「‥‥何が何でも愛してやれ、優しくしろなんて言えない‥‥」
時には変わった表現を好む。
「だ、そうですよリザ?」
ジト目でべドウィールは、リザを見やる。
「ウィールは何が言いたいの」
ほほえみで返すベドウィール。
「でもね、コモンは大抵愛してもらえれたらうれしいし、優しくされたら他人にも優しくしたくなるんだよ?」
シャロームくんの言葉は続く。
(そうだな、あの名も知らぬ女性の優しさは、他人にもそうしたくなるものがあった)
ソーンが一夜の契りを思い出す。
「優しくされなくても、優しくしたい私がヘンみたいね」
苦笑するアルマリア。あくまで優美に、そして情欲をそそる。
(その割にはハウンドたちには、優しくなかったですね)
リコが胸の中でひとりごちる。
ユナが胸の前で腕を組む。
「何か実感籠ってるの」
マリカが目じりをぬぐう。
「ぼくはみなさんを愛したいです!」
シャロームがそう締めくくると、どよめきが上がった──‥‥こうして、リムランドにまたひとつ希望の明かりが灯される。
シャローム君の破天荒ぶりが、これから見逃されるかどうかはさておき‥‥。
「ああいう伝道師もいるんですね」
としみじみ言うのはリコだった。
ともあれ、シャロームくんは普段の態度と想像できぬほど毅然と説教を行い、村人に寄り添い、教えを広めたようだ。
かくして、ミドルヘイムの明日のため、ハウンドたちは次の依頼を受けるため、オーディア島へ、ローレックの街へ、ハウンドギルドに帰投するのだった。
‥‥明日も──ハウンドの戦いは、つづく!
10
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参加者
| | c.ちっちゃい子をいじめちゃダメっ!……え?説得が変?(チャージをガード)
| | ユナ・プリセツカヤ(da0671) ♀ 20歳 人間 ヴォルセルク 陽 | | |
| | b.ま、仕掛けてきたのは向こうだから。
| | アルマリア・アリアンロッド(da0672) ♀ 35歳 人間 パドマ 火 | | |
| | b.…馬マッチョ…??? 解呪アリなら気絶狙いでいくね!
| | リザ・アレクサンデル(da0911) ♂ 23歳 人間 ヴォルセルク 水 | | |
| | a.機動力と長射程…なかなか厄介そうな相手ですね?
| | ベドウィール・ブランウェン(da1124) ♂ 27歳 人間 ヴォルセルク 月 | | |
| | b.シャロームくんの護衛に集中しつつ、機会があれば咆哮を試してみるわね。
| | マリカ・ピエリーニ(da1228) ♀ 29歳 人間 ヴォルセルク 火 | | |
| | b.色違いや黒い奴にはひとまず解呪を試みたい。
| | リコ・ポートマン(da1336) ♀ 23歳 カーシー(中型) カムイ 月 | | |
| | z.機動力には機動力で対抗しようか。
| | ベンディッカ・ブラステリー(da1791) ♂ 40歳 ダークエルフ ヴォルセルク 陽 | | |
| | a.突撃には突撃じゃ! ちと頭を冷やさんかい!!
| | ソーン・イワオ(da1804) ♂ 39歳 カーシー(大型) ヴォルセルク 地 | | |
| かわいそうやけど、うちらのねんまつのためや!(矢を番えながら) | | |
皆で幸せになろうよ?
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ぼく、シャローム、ちょっぴり天然入った伝道師、リムランドで布教活動に行こうとしたら大ピンチ! 黒いセントールの襲撃だ! 何か飛んでるし? でも、ハウンドのみなさん、主にボクを守って!
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