オープニング
◆始まりは雄叫びから
雪の中を小さな影が飛ぶ。
それは羽妖精──そう、シフールだ。
「なんで、こんなめにあうんやー!」
お約束だが、そのシフールはガーベラである。
魔の森の調査行のため、この地に訪れたハウンドたちを襲うのは、身長が3メートルはあるかと思われた、巨大な妖獣だった。
二本足で歩く、その巨躯──いや眼差しは飢えに満ちている。
問題は妖獣は、ハウンドたちを強襲して、とっさの反撃を受けたものの、その傷は癒えている。瞬時にというと大げさだが、壮絶な勢いで傷は塞がったのだ。
そして、シフールを追いかける、たまたまそばにいたのがガーベラだったという話。
しかし、魔の森の浅い部分とはいえ、明かりは十全ではなく、視界は暗い。
殴り合いならともかく、遠距離では誤射の可能性がある。
「うちをくってもおいしくないでー! くいでないやん」
言葉を聞く限り、ガーベラはかなり混乱しているようだ。もっとも涙は見せない。
ハウンドたちは状況は最大限に生かさざるを得ないと判断した。
無慈悲だからではない。
ともあれ、ガーベラと仲間たちは無事ローレックの街に帰りつけるだろうか?
──ハウンドの雪の中での戦いが始まる。
選択肢
マスターより
また、ガーベラがピンチですね。まじめな話、上に飛んでいれば振り切れそうですが‥‥まあ、魔の森で単独行は危険でしょうね。
今月はこれでおしまいです。ともあれ、妖獣の正体と、意図は何か!?
なお、皆様から見て、ガーベラを追う妖獣までが10メートル、更にその先の逃げるガーベラまでが50メートルあります。妖獣とガーベラの距離は40メートルです。
みなさんも生還するためにご参加ください。
登場キャラ
◆始まらない朝
(見た事無いやつっぽい‥‥? いろいろ試してみようかな)
魔の森にて、
リザ・アレクサンデルが、トロールを見て、危機感を感じる。
やはり、初見の魔物には、慎重にならざるを得ない。
しかし、大胆さも忘れないのが、リザらしいところだ。
そして魔法を成就。手の中には水の剣、ブレードofローレライが収まる。
「あいつ、ガーベラを狙ってるっぽい? ダークサイドがシフールをあんまり狙わなかったことはあるけど、逆は初めて見るかも」
「ダークサイドでしょうか? オーガ類とはまた違うような‥‥再生能力を阻む手段や攻撃種別があるかもしれません、可能な範囲で試してみましょうか」
リザの水の剣にミタマギリの魔法を付与し終えて、答えるのは、
ベドウィール・ブランウェンだ。
「リザの武器と、魔的の無い攻撃が通るならグリーヴァライモンで行きましょう──魔的を要する相手ならダーツにミタマギリということで、これもどの程度効くかはやってみなければ分かりません。火があるなら、再生しきる前に傷口を焼いてみますか?」
そこまで言うと、べドウィールは、空中でグリフォンにまたがる、
エリアル・ウィンフィールドの方を見る。
「火なら任せておくれやす、ランタンも準備してますさかい。さっき見たときは角とか見えへんから、それを砕いて再生を封じるとかはムリそうやわ」
言ってグリフォンは翼をはばたかせ、前に進む。
そうですか、とべドウィール──一方。
◆友達の助けが多少はあるから
「ガーベラはん、落ちついて聞くんや、真上に飛んで、デカイのを振りきればいいんどす」
そのエリアルの助言を聞いた、
ガーベラは一瞬止まると、上に向かい移動を開始した。
「ひと安心やな」
「シフールに危害を加える等、天が赦しても自分が赦さぬ!! おのれ妖獣め! シフールに恐怖を与える等、ましてや命を奪おう等と、なんと不届き至極! 自分がシフールに受けし恩の万分の一にも満たぬが、此処で返そうぞ! 愚かさのつけは地獄で払うがいいのである!」
怒髪天を突かんばかりの、
ノワール・トゥーナインが進む。
ノワールは怒りに任せて、力強くクラブを放る。正確な一撃はトロールを捉えた。
しかし、赤味を帯びた打撃痕は、みるみる内に元の色を取り戻す。再生されたのか、意に介されていない。
「だが、何故巨大な妖獣がこんな所に? ──やはり魔の森という所は人外魔境であるな」
それを確認するより早く、ノワールは走り出す。
「大丈夫行ける。悪いけど──始末します、私の為に」
ノワールの前を走るのは、
ソレイユ・フォリーだった。
(まず視界の確保はルミナリィで万全です。しかし、シフールとはいえ、ノワールが他の女に、必死になるとモヤモヤします。いえ、こんな考え駄目ですね。だから、このモヤモヤは敵にぶつけましょう)
大きな敵との戦いは、脚を叩き下がった上体を叩く、これセオリーです。跳んじゃ駄目。
彼女は自分の戦訓から、そう考えている。
体格で倍近くあるトロールの足にハンドシックルが届く間合いまで、ソレイユ自身がどうやって入り込むかは考えていない。一般論として、フィジカルだけで間合いを侵略できない、とは彼女は考えない──まあ、考えず実行するのもセンスだ。
「ふふふ、がんばればノワールホメてくれるかな? 悪いけど、わたしの為に好感度になってください」
トロールの名前は知らないが、嬉しそうなソレイユは、彼(?)の処刑執行書にサインする。
その横をリザのブレードofローレライが、優美な弧を描き、潜り抜けていく。
トロールの肌を切り裂き、それなりの出血を強いたようだ。
べドウィールは、確認すると同時に走り出す。
(ルミナパワーは不要、ならばグリーヴァライモンで攻め立てましょう!)
しかし、想定外の事は起きるもの。
◆なます斬り(飲食不適)
「シャフト止まらんか?」
まだ、絆が十分とは言えない、グリフォン──命名シャフト──にムリをさせすぎた、エリアルは自分が空中から、ソルティドール──白い少女像のようなガーゴイルだ──を動かすためにディレクトガガを成就するのに、十分な安定を得られない。
その為、降りたのだが、トロールはエリアルに進路を変える。
「まずいですわ、これ」
急いでシャフトにまたがろうとするが、そこまで一度にはできない。
視界を十全に確保したソレイユが、たどり着くころにはエリアルは撤退しているが、トロールの次の目標がソレイユとなっただけだった。
「飛んで火にいる、何とやらです」
一撃が振り下ろされる。一打で、落とした熟柿のごとき、惨状になるかと思われた。しかし、ソレイユは十分な余裕をもってかわす。
「くすくす。その程度なの?」
自分が惨状のもと、になりそうな風情なソレイユであるが、それを考えて臆するわけには行かない。
「ちぇすとー! である! 地獄で反省せよ!!」
ノワールが追いついたのだ。
袈裟懸けに一刀を浴びせる。今宵のグリーヴァオオダチは血に飢えている。
更に後ろから、ブレードofローレライが追い打ちをかける、もちろんリザだ。
「ごめんね、一発外しちゃった」
中距離戦を挑む、リザの声はまだ遠い。
しかし、ミタマギリが付与された水の剣で一撃浴びせても、まだトロールは動く。
そこからすると、トロールには魔力にそれなりの余裕があるらしい。あるいは──ただの悪運か?
「──!」
わずかな呼気とともに後ろから攻めるべドウィール。
彼が手にしたグリーヴァライモンには、ミタマギリの魔法は付与済みだ。
「アガガガ!」
白目をむいて気絶するトロール。魔力がようやく尽きたらしい。
「気絶している間にも──傷は塞がりますね」
傷は見る見るうちに塞がっていく。
「困ったときの、ランタンたのみどす」
エリアルはランタンを傾け、油に着火した。
火傷は塞がらない──。
「は! は! は!」
ノワールは首を斬り落とせば死ぬ、とあたりをつけた。
それを実践すべく、再生速度を上回る速度を目指し、太い首に斬撃を浴びせる。
「焚火の火、持ってきてください──あと油とか」
べドウィールはリザに頼む。
「チェックメイト?」
ソレイユはトロールの巨体によじ登って、眼窩にシックルを差し込み、そこから刃を動かし回す。
痙攣するトロール。
「わーあたたかい」
温かい感触がソレイユの手に、手首に伝わる。
やがて、そこにリザが焚火のそだを押し込み、脳を焼いた。
「うわーグロい」
リザが返り血のついた、ソレイユから目を背ける。
「結局これってダークサイドかな? ウィール」
問うリザに、どうでしょうか? と返すべドウィール。
「それより、ガーベラさんが心配ですね」
「うわーみなさん、すまんわ‥‥あんなふうにおわれるのははじめてやった」
泣きそうなガーベラと合流する一同。
「シフールの幸せは人々の幸せである」
と、ノワールがガーベラの髪の毛をくしゃくしゃにする。
無事でよかった。
万感の思いをこめて呟くノワール、ちょっぴりガーベラがうらやましくなるソレイユ。
「ソレイユは良くやってくれたのである」
仔犬のような笑みで返すソレイユ。今にも尻尾をふりそうだ。
「いやー、これは勘弁どす」
エリアルがそんなつぶやきを漏らした。
そして、暁が来る。明けない夜はないはずだ。
暁を連れてくるために、人々のため、ハウンドは命をかける。
あとに続く仲間がいることを信じて。
だから──ハウンドの戦いは──つづく!
8
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参加者
| | a.見た事無いやつっぽい…?いろいろ試してみようかな
| | リザ・アレクサンデル(da0911) ♂ 23歳 人間 ヴォルセルク 水 | | |
| | a.さて、ミタマギリが通るかどうか…?
| | ベドウィール・ブランウェン(da1124) ♂ 27歳 人間 ヴォルセルク 月 | | |
| | b.残念ながらガガを仙級にでけへんかったので別の手考えます
| | エリアル・ウィンフィールド(da1357) ♀ 49歳 ダークエルフ マイスター 水 | | |
| | a.シフールに危害を加える等、天が赦しても自分が赦さぬ!!
| | ノワール・トゥーナイン(da1749) ♂ 29歳 カーシー(大型) ヴォルセルク 風 | | |
| | z.大丈夫、行ける。悪いけど、始末する。私の為に。
| | ソレイユ・フォリー(da1795) ♀ 22歳 カーシー(小型) ヴォルセルク 陽 | | |
ガーベラまたまたピンチ?
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楽しい魔の森の調査行です。何かあるかもしれませんが、自力で対処してください(ハウンドギルド依頼書より抜粋)
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