美味しい旨いもう最高!

担当成瀬丈二
出発2019/10/23
種類ショート 冒険(討伐)
結果成功
MVPベドウィール・ブランウェン(da1124)
準MVPアザリー・アリアンロッド(da0594)
アルマリア・アリアンロッド(da0672)

オープニング

◆クリスマスに向けて
──揺れていた。
「ほらよ、シフールとパラ、メシだ食え」
 シフールのガーベラと、隣にいる少年の前に、皿が出される。
 中はカリカリに焼いたベーコンと、チーズたっぷりのパンだった。
「く、ひとをゆーかいしといて‥‥く、くえるかー!」

登場キャラ

リプレイ

◆プロ意識って──おいしい?
「だよね~!」
 極悪趣味貴族であるピエールの周りにいる、用心棒──もとい、山賊に聞き込みをした、リザ・アレクサンデルは、納得せざるを得なかった。
「これこれこーんな感じのシフール見かけなかった? みんな知らないって言ってて困っててさ」
 シフールか?
 チロッとリザの方を見る、用心棒。
 脈あり、と見たリザは用心棒が、動くのを期待して、話を続けた。
「‥‥大事な手紙を受け取る予定だったのに、困ったなあ‥‥どこ行っちゃったんだろ?」
 本当に大切な手紙をシフールには託さないだろう、と言われてしまう。
「うんうん。僕もそう思うよ‥‥ひとりしかいないみたいだけど、不用心じゃない?」
「お楽しみなんだ。俺はカードで負けているから‥‥」
 用心棒は言って、近くの路地裏の方に視線をやる。
 そこからは嬌声と、肉と肉が打ち付けあう音がした。
 アルマリア・アリアンロッドと、アザリー・アリアンロッドのふたりが、4人相手にイイコトをしている。
 ちなみにアザリーの色々なところをみて、アルマリアは『若いっていいわね』と言ったとか言わないとか‥‥。
 リザが誘導した、見張りはひとり、という発言を聞いて、アシュラス・オボロと木の人形型のガーゴイルが忍び込む。
(我の知っているピエールであれば)
 アシュラスが知った名前のピエールならば、コモンを食うシュミがあるウーディア領主だ。
 宿を貸し切りにしたのは、その特殊なシュミゆえ。
 それは、ガーベラが、食事に供される可能性を意味した。
(急がねばならないのである、待ってろよ)

◆幕間──時間との戦い
 一方、港の方のアリー・アリンガムに焦点を合わせよう──。
 彼女はパーストの魔法で、過去を見ようとしていたが、時刻を厳密に指定できないと意味がない。
 その為、フリックを最後に見たところから遡って、過去を見る。
 しかし、肝心なところにたどり着く前に、買い食いをしているフリックの姿を見ただけにとどまった。
 パーストは早送りは出来ない、必要以上の時間を使ってしまう。
「徒労ですわね‥‥」
 やはり、絞り込みの条件をもう少し、多くするべきだったか‥‥。
 ともあれ、船への潜入の成果を、アシュラスにテレパシーで伝える。
(成功しました。ガーベラさんもフリックさんも無事です)。

◆海へいこうぜ──あるいは、おかずユンタ
(宿は逃げませんが、船はいつでも逃げられます──こちらから調査を始めますか、アシュラスさんの言いたいことも分かりますが‥‥)
 思考する一方、ベドウィール・ブランウェンは、夜陰に乗じ、見張りのひとりを気絶させる。素手にミタマギリの魔法を付与したのだ。
 このミタマギリは音もたてず、相手を昏倒させうるので、かなりラクだ。
 周囲をチェックすると、こちらは見張りは少ないらしい。
 船乗りのふりをしながら、べドウィールは入り込み、手当たり次第に部屋の扉をひらく。やがて、表に南京錠のかかっている扉を発見した。
「──フリックさんいますか? ガーベラというシフールはいますか」
 押し殺した声で質問する。
「ふたりともいるよー」
 これはフリックの声。
「あ、べどはん、おるでー」
 ガーベラだ、間違いない。
「無事なようで、何より。みんな心配していますよ。静かに。今開けます」
 しばし、安堵したべドウィールは、言って、針金を取り出すと、器用に南京錠を開ける。
「無事なようですね。逃げましょう、フリックさん泳げますか?」
「まあ、本気を出せば泳げると思うよ。うん、なんとかね」
 フリックははっきりしない返事だが、泳げないと見たべドウィールは、プランを切り替える。
「さあ、船乗りのふりをしましょう」
 言って、べドウィールは、飲みかけのビールのジョッキの中身を服にかける。
「酔っぱらいの相手は誰もしませんからね」
 納得したフリックは、同じことをした。
「ああ、いっちょうらがよごれるで」
 ガーベラは形だけおこなった。

◆風のゆくえ──だから、ぼくらは
(我が輩はピエールの書きかけの書簡を手に入れた。証拠として持ち帰るので、宿で落ち合おう)
 アシュラスはアリーに自分の首尾を伝える。

 そして宿で一同は合流する。パラの夫妻も無事を喜びあう。何だかんだで、関係はいいらしい。
 たぶん、おそらく、May Be‥‥?
「しばらく、あの用心棒どもは足腰立たないわ」
 アルマリアが宣言した。肌がつやつやしているように見えるのは、気のせいだろう。
「あと半日は無理ね」
 アザリーは神秘的な笑みを浮かべて、その言葉の信頼性を補強する。
「こちらかの報告は、ピエールの関係者のリストを持ち出せたので、ハウンドギルドではなく、我と助けた夫妻の名で詰め所に出しておくのである」
 アシュラスがやったことは、合法ではないので、ハウンドギルドの名を使って出せる筋合いではない。
 しかし、港の役人から話が回れば、ピエールの関係者も捕まる──と、気軽に思いたいところ。
 遠い道のりだが、アシュラスの美意識がなければ、ピエールを殺害しておしまいにしたかもしれない。
 それでも、アシュラス自身の矜持がそれをさせないのだ。

「船内はひと通り見ましたが、他の捕まっている人はいないようです」
 自身の成果をべドウィールは報告した。
「やっぱり、こういうことをさせたら、ウィールの右に出る人はそうそういないよね♪」
 ちゃかす様なリザの言葉にべドウィールは目を細める。
「リザ、人聞きが悪いです。素直にほめたほうが、傷は小さいですよ」
「ウィールの方も、否定はしないんだ?」
 いたずらっぽくリザは言う。
「剣が得意だから、人殺しは得意だと、お褒めの言葉を頂戴している心境です」
 そのベドウィールの言葉に、とどめとばかりにリザは。
「やっぱり、否定‥‥しないんだねウィール?」
「くどい」
 べドウィールは断言した。

◆明日に向かって、セーリングフライ!
「それにしても、くわれるところとは、おもわんかったわ。めしはえろう、うまかったさかい」
 ノンビリしたガーベラの意見に目を背けるアシュラス。
(生きていればこそ言える意見であるな)
「まあ、こういう事もあるのだから、もう少し自分の身は自分で守るのである」
 言うアシュラスの方も、聞くガーベラに、この言葉が届くのは生きていればこそ、と考えてしまう。
「せやな。うっかりたいへんなとことになるんやったな」

「アリーさんはお疲れ様でした」
 べドウィールはアリーにフォローを入れる。
「そう言っていただけると嬉しいですわ。パーストだけに頼るのは‥‥まぁテレパシーもありますけど」
「お互い月属性は大変です」
「せやな。つきぞくせいは大変やな」
 と、ガーベラ。
「ああ、たいへんやった。はよう、ろーれっくのまちに、かえらんとな」
「オチを言ってあげようか? 忘れてるみたいだけど、これから海賊退治があるんだからね?」
 リザのその言葉に、ガーベラは心底げんなりした表情を作るのだった。
「そうね、海賊は10人くらいローストにしたいところね」
 アルマリアが言うと、アザリーもうなずく。
「きっと、たのしいわ、姉様」
 本当に嬉しそうな、表情である。まるで──恋に恋する乙女のような。
 ──ゆえに、ハウンドの戦いは‥‥つづく!



 9

参加者

b.お供するわね。
アザリー・アリアンロッド(da0594)
♀ 29歳 人間 ヴォルセルク 月
b.用心棒と遊んでくるわ。
アルマリア・アリアンロッド(da0672)
♀ 35歳 人間 パドマ 火
b.おじさn…おにーさん、ちょっとちょっとー
リザ・アレクサンデル(da0911)
♂ 23歳 人間 ヴォルセルク 水
c.ちろっと過去を覗き見しましょう♪
アリー・アリンガム(da1016)
♀ 29歳 人間 パドマ 月
c.船の方を。…隠密行動はそこそこ得意ですが、覗きとは?(解せぬ顔)
ベドウィール・ブランウェン(da1124)
♂ 27歳 人間 ヴォルセルク 月
c.のぞき…もとい潜入作戦ならまかせろ。
アシュラス・オボロ(da1803)
♂ 43歳 ダークエルフ マイスター 風
 つぎはなにや! うちはまだまけへんで!
ガーベラ(dz0030)
♀ ?歳 シフール カムイ 月


ガーベラ消息不明!?

ウラートで、ハウンドのガーベラが、待ち合わせに来ない。どこかで迷っているのか、それともウラのある事か? 謎は深まるばかり。あと、パラが行方不明。なお、近くの宿で某国の貴族の貸し切りだそうだ。