【SE02】大コウモリを狩れ

担当成瀬丈二
出発2019/10/21
種類ショート 冒険(捕獲)
結果成功
MVPソレイユ・フォリー(da1795)
準MVPアレックス・パーリィ(da0506)
セシリオ・レヴナント(da0545)

オープニング

◆ハロウィンへの招待状
 とある有力者からの、ハウンドギルドへの狩猟依頼が出た。
 依頼を出したのは、パイロ・シルヴァンという騎士だ。元ダーナだが、今では騎士団のひとつを任せられているという。
 張り出された依頼によると『悪趣味な依頼だが』と、断りがあった。それはさておき、狩るのは『ドクロの模様のある巨大コウモリ』だそうだ。
 騎士団の若い衆を集めての、ハロウィンパーティのメニューを考えたパイロは、巨大コウモリの姿煮を出そうと考えた。
 そこで白羽の矢を立てたのが、ラージバットと呼ばれる、1メートルはあろうかという、大型のコウモリだ。

登場キャラ

リプレイ

◆闇を切り裂く光
 ここは、ラージバットがすむという洞窟だ。
 湿った空気が重苦しく、獣臭が入り混じり、快適とは言いづらい。
「火はないのか? 動物は火を怖がるのであるから、それをもって制するべきであろう」
 目を細めるのは、ノワール・トゥーナインだった。
 攻撃を受け止める竹製の盾、その奥の逆手にはきつめに布を巻いている。盾を貫通して毒を送り込まれないための、彼なりの対策だろう。
「どうぶつでなくても、火はこわいわ。はねについたら燃えちゃうもの」
 少し不安そうな、リリィは、ノワールの後ろにぴったりついている。
「リリィ、後ろから撃つときは一声かけるのである。いかに信頼しあっていても、何かをするときは確認はするということが、戦場では大事なのである」
「わかったわ、ゆうしゃさま。リリィ頑張る」
 ノワールとリリィの短いやり取り、その一方で──。
「色違い、柄違いにはリムーブカースを‥‥もし、ダークサイドならコモンを襲うかも、たとえ火があっても」
 少し具合が悪そうな、リコ・ポートマンだ。
「成程。ダークサイドの魔物なら火を恐れず、コモンを襲う」
 納得するのは、ソレイユ・フォリーである。
 普段と違って、限定空間なため、大きな武器は持ち込めない。
 そのため、相手を感電させ得る、サンダーマンモスの牙が攻めの主体となる。
「わふぅ、暗い洞窟、ドクロマークのコウモリ‥‥なんかお化けでも出てきそうですね」
 そう、アレックス・パーリィが、言った後、一言つけ加えた。
「いかにもハロウィンですね」
 その言葉に応じるかのように、洞窟はそろそろ、陽の光が途切れる頃合い。
「では、そろそろ、魔法のランタンで照らします‥‥」
 言って、セシリオ・レヴナントは明かりを灯した。照らされた足元に、積み重なっているのは、コウモリのフン。
(しかし、ラージバットが幻覚性の毒を持っているとは‥‥やはり、変種‥‥ダークサイドの可能性ですか?)
 毒狂いの彼なら知っていることだが、単純に毒を採取するのと、効力を保持することとは別である。
「私も明かりを──」
 アレックスもトーチを点ける。
 光源が、広い空間を照らす。次の瞬間、天井に群れている、コウモリが明かりに照らされ、一斉に飛び立った。
 つづけて、体長が1メートルを超す、巨大なラージバットが数匹飛び立つ。
 中には背中にドクロ柄──天上からぶら下がると、ちょうどドクロに見える模様の個体──ダークラージバットが羽ばたく。
 一同が身構えた瞬間、精々数匹しかいないはずの巨体が十数体に増えていた。
 ハウンドの中をパニックが伝染する。

◆悪夢──終わらない夜と、落ちた月
「落ちてください!」
 アレックスが瞑想剣で、群がるダークラージバットを払い落とす。
 本来なら幾つかの魔法を準備するべきだった。しかし、間が悪かったのだ。
「にいちゃん──後ろへ!」
 とセシリオに後退を促す。
 アレックス目指し、まっすぐ飛んでくるダークラージバットの攻撃が迫る。それをセシリオは払いのけようとする。
 しかし、かわされ、彼の肩口に鋭い牙が突き立つ。
「ああ、ああ?」
「にいちゃん!」
 毒が回ったセシリオの表情を見て、アレックスが大きな声を出してしまう。
 セシリオが手に持っていた──魔法のランタンが落ちた。

──混濁する意識の中でセシリオは見た。
 若い自分が、幼い子供が戯れている。
(セシリオのかおってどうなっているの?)
 声変わりしていない甘い声がささやかれる。
 背伸びして、その小さな手で、セシリオのフードを払おうとする。
 悪気はない。
 無邪気な好奇心だ。
(だめです!)
 しかし、セシリオはその手を力いっぱい払いのけてしまう。
 尻餅をついた、幼い子供が涙を浮かべた。
(すみません‥‥でも)
 謝ろうとした瞬間、子供は血の海に倒れている。
 セシリオが助け起こそうとすると、己の手に、何かがついたナイフがあった。
 鋭く光り、切れ味は良さそうだ。
「──!」
 ナイフは赤くどす汚れていた‥‥──。

「やめろ──く‥‥顔は見ないで」
「にいちゃん!」
 痙攣するセシリオに、アレックスは懸命な声をかける。
「させませんよ!」
 セシリオを守る為に、奮起するアレックス。

◆悪夢──始まらない朝‥‥太陽は昇らず
「な、なによー! リリィよりおっきいじゃないのよ! でも、なんとかなるわ! ゆうしゃさま、矢で──」
 リリィが懸命にフェアリーボウに矢をつがえる。混乱しており、1秒でも早く、追い払うために戦技魔法は使わない。
 ソレイユが魔法の成就に入っている。彼女の魔法、ルミナリィは持続時間の関係上、あまり乱発は出来ない魔法だ。
(かわす、それともルミナリィの‥‥)
 魔法に専念、あるいは回避すべきか、判断が一瞬遅れる。
「く‥‥!」
 そんな彼女の上腕部をえぐるダークラージバット。
 ソレイユの意識が幻覚に侵食される。

──そこには獣がいた。
「──XXXX!」
「XXX‥‥XXX、X?」
「‥‥違う」
 ソレイユにも誰かはわからない、ただ、自分を否定する言葉が浴びせられていることだけは分かる、いや分かってしまう。
 まるで、ソレイユ、彼女自身を根本から非難するかのように。
 産まれても生きてもいけないかのように。
 おそらく、自分の記憶とは違う。
 そう、違うはずだ、と思いたい。
 なのに、自分は『誰か』に飛びかかり、首を絞めている。気管をつぶす感触が手に残った。
「ほーらやっぱり、ヒトゴロシだ」
 あざけり笑う声。
「否定」
 冷たい自分の声。
「怖くない」
 自分に言い聞かせた。
 そして、もうひとり、内なる獣に──
 どこからか聞こえる声。
 周囲を自分と『獣』に関する、悪夢が繰り返すが、少ししてそれは消えた。
「大丈夫ですか? にいちゃんが解毒薬を持っててよかった‥‥ソレイユ様があまりに苦しんでいたので」
 アレックスが力づけるように、ソレイユに語る。
「ありがとう──」
 ソレイユは言ってルミナリィを成就する。
 その間もアレックスがフォローした。
 ソレイユがルミナリィの視界で確認すると、ダークラージバットが5匹しかおらず──残りは幻影であることが判明する。
「まやかし」

◆誰も幸せになれない──生きる証、剣を取り戦いなさい
 その事実をソレイユは手早く、ノワールたちに伝達する。
「了解である。指示を頼む」
 ネットをかぶせるのでは無く、束ねてもってふりまわすノワール。
 ダークラージバットの分身の幻影は消えない。しかし、普通のコウモリたちは逃げ惑う。
「ふむ」
 ノワールの手で、普通のコウモリたちが、あらかた逃げ出したところで、アレックスが置いたトーチを拾う。
「借りるのである。いずれ倍返しである」
 アレックスも、セシリオを守り、剣を取る。
「お気になさらず」
 リリィも意識を取り戻したセシリオから事情を聞くと、怒りが燃えた。
「げんえいか、ひどいゆめかしらないけど‥‥おこった」
「にいちゃんを、よくも幻覚で‥‥」
 アレックスも静かに怒る。
 ノワールが担当している間に、アースアーマーなどを成就している、これで傷を負う可能性は、事実上なくなったのだ。
「斬りますよ!」
 瞑想剣エアリオラが唸った。
 この猛撃により、ラージバットは逃げ出すのだった。
「ふうむ。これが成果であるか」
 ノワールが獲物を見た。
 回収できた、ダークラージバットは、3匹だけだった。
 1匹は原形をとどめず(なお、生のあるうちに、リコがリムーブカースで魂を安らげた)。
 残りの2匹を捕獲に成功。1匹からはセシリオが毒を採取した。残り1匹は生きた状態で持ち帰った。

「ありがとう‥‥話通りのものだな。これなら──若い連中にウケが取れそうだ」
 パイロ・シルヴァンがハウンドギルドで手に取ると、様々な処置と一同の奮戦をねぎらった。
 パーティーに参加するか? との問いには、一同は丁重に辞退する。
 しばらくして、ハウンドギルドに顔を見せた、パイロが語る。
 ダークラージバットの味は、血抜きしきれない赤身魚のようなものだったらしい。
 生臭いが、ギリギリ食べられる、との事。
「いやあ、ハロウィンパーティの話題はかっさらえたよ。来年も‥‥いや、Xmasもお願いしたいところだ」
「うけねらいよりも、おうどうのほうが、いいとおもうの」
 とはリリィの弁だった。
「うちの亡くなったヨメさんみたいなことを言うな」
 パイロは後頭部に手をやって、破顔する。
(苦労したのでござろうな)
 リリィの微妙な表情を見て、ノワールは思考するにとどめた。
 ──ともあれ、ハウンドの戦いは‥‥つづく!



 9

参加者

a.こちらでいきましょう
アレックス・パーリィ(da0506)
♂ 28歳 カーシー(大型) ヴォルセルク 地
a.洞窟、とのことですので、明かりが必要そうですね。
セシリオ・レヴナント(da0545)
♂ 28歳 ダークエルフ ヴォルセルク 水
b.色違い、模様違いにはひとまずリムカしたいと思う。戦闘は弓矢と回復だ。
リコ・ポートマン(da1336)
♀ 23歳 カーシー(中型) カムイ 月
b.な、なによー!リリィよりおっきいじゃないのよ!でも、なんとかなるわ!
リリィ(da1748)
♀ ?歳 シフール カムイ 陽
a.動物は火を怖がるもの、トーチの火と剣で相手をさせて貰うのである
ノワール・トゥーナイン(da1749)
♂ 29歳 カーシー(大型) ヴォルセルク 風
a.単独行動、しない、死角、守る、多対多の、基本
ソレイユ・フォリー(da1795)
♀ 22歳 カーシー(小型) ヴォルセルク 陽
z.よろしくお願いします。
アシュラス・オボロ(da1803)
♂ 43歳 ダークエルフ マイスター 風
z.よろしくお願いします。
シレン・ホムラ(da1805)
♂ 25歳 ライトエルフ パドマ 火
 細かいことは任せた‥‥あとは、健闘を祈る。他に何か言って欲しいか?
パイロ・シルヴァン(dz0039)
♂ 39歳 人間 無


悪趣味な狩り?

悪趣味だが、ラージバットを騎士団のパーティーに出したい。びっくりさせるのが目的なので、原型をとどめて欲しい。特にドクロマークのついたコウモリの捕獲を頼む。細かいことは任せた。パイロ・シルヴァン