オープニング
◆ハロウィンへの招待状
とある有力者からの、ハウンドギルドへの狩猟依頼が出た。
依頼を出したのは、パイロ・シルヴァンという騎士だ。元ダーナだが、今では騎士団のひとつを任せられているという。
張り出された依頼によると『悪趣味な依頼だが』と、断りがあった。それはさておき、狩るのは『ドクロの模様のある巨大コウモリ』だそうだ。
騎士団の若い衆を集めての、ハロウィンパーティのメニューを考えたパイロは、巨大コウモリの姿煮を出そうと考えた。
そこで白羽の矢を立てたのが、ラージバットと呼ばれる、1メートルはあろうかという、大型のコウモリだ。
食用にされることは滅多にない。あくまで座興と考え、ハロウィンのびっくりメニューに最適と思ったらしい。
しかし、通常の狩人に依頼し、森まで狩りに行かせたところ、すっかり返り討ちにあったという。
その中には『背中にドクロ模様のある、恐ろしい巨大コウモリ』もいたという。
パイロはそれを聞くと、逆に考えた『むしろ、ドクロマークのコウモリなんてハロウィンすぎる』と。
ウケ狙いを抑えられなくなってしまい、ハウンドに依頼したという。
狩人の記録から、ラージバットの巣くう場所は、特定できるている。深い洞窟だそうだ。
ラージバットは、牙に毒があるそうだ。ドクロ模様のやつは、幻覚を伴う毒らしい。
これも人の世の義理ということか──ハウンドたちは決意を固める。
──ハウンドの狩りが始まる。
選択肢
マスターより
成瀬です、ハロウィンにようこそ。
今回はストレートにラージバットの待つ洞窟への殴り込みです──さあ、狩れ。
ドクロマークのついているラージバットは、普通のラージバットと違うかもしれません?
しかし、それは会ってのお楽しみ。
では、皆さんの参加お待ちしています。
※【SubEpisode02】ハロウィン919 関連シナリオ
登場キャラ
◆闇を切り裂く光
ここは、ラージバットがすむという洞窟だ。
湿った空気が重苦しく、獣臭が入り混じり、快適とは言いづらい。
「火はないのか? 動物は火を怖がるのであるから、それをもって制するべきであろう」
目を細めるのは、
ノワール・トゥーナインだった。
攻撃を受け止める竹製の盾、その奥の逆手にはきつめに布を巻いている。盾を貫通して毒を送り込まれないための、彼なりの対策だろう。
「どうぶつでなくても、火はこわいわ。はねについたら燃えちゃうもの」
少し不安そうな、
リリィは、ノワールの後ろにぴったりついている。
「リリィ、後ろから撃つときは一声かけるのである。いかに信頼しあっていても、何かをするときは確認はするということが、戦場では大事なのである」
「わかったわ、ゆうしゃさま。リリィ頑張る」
ノワールとリリィの短いやり取り、その一方で──。
「色違い、柄違いにはリムーブカースを‥‥もし、ダークサイドならコモンを襲うかも、たとえ火があっても」
少し具合が悪そうな、
リコ・ポートマンだ。
「成程。ダークサイドの魔物なら火を恐れず、コモンを襲う」
納得するのは、
ソレイユ・フォリーである。
普段と違って、限定空間なため、大きな武器は持ち込めない。
そのため、相手を感電させ得る、サンダーマンモスの牙が攻めの主体となる。
「わふぅ、暗い洞窟、ドクロマークのコウモリ‥‥なんかお化けでも出てきそうですね」
そう、
アレックス・パーリィが、言った後、一言つけ加えた。
「いかにもハロウィンですね」
その言葉に応じるかのように、洞窟はそろそろ、陽の光が途切れる頃合い。
「では、そろそろ、魔法のランタンで照らします‥‥」
言って、
セシリオ・レヴナントは明かりを灯した。照らされた足元に、積み重なっているのは、コウモリのフン。
(しかし、ラージバットが幻覚性の毒を持っているとは‥‥やはり、変種‥‥ダークサイドの可能性ですか?)
毒狂いの彼なら知っていることだが、単純に毒を採取するのと、効力を保持することとは別である。
「私も明かりを──」
アレックスもトーチを点ける。
光源が、広い空間を照らす。次の瞬間、天井に群れている、コウモリが明かりに照らされ、一斉に飛び立った。
つづけて、体長が1メートルを超す、巨大なラージバットが数匹飛び立つ。
中には背中にドクロ柄──天上からぶら下がると、ちょうどドクロに見える模様の個体──ダークラージバットが羽ばたく。
一同が身構えた瞬間、精々数匹しかいないはずの巨体が十数体に増えていた。
ハウンドの中をパニックが伝染する。
◆悪夢──終わらない夜と、落ちた月
「落ちてください!」
アレックスが瞑想剣で、群がるダークラージバットを払い落とす。
本来なら幾つかの魔法を準備するべきだった。しかし、間が悪かったのだ。
「にいちゃん──後ろへ!」
とセシリオに後退を促す。
アレックス目指し、まっすぐ飛んでくるダークラージバットの攻撃が迫る。それをセシリオは払いのけようとする。
しかし、かわされ、彼の肩口に鋭い牙が突き立つ。
「ああ、ああ?」
「にいちゃん!」
毒が回ったセシリオの表情を見て、アレックスが大きな声を出してしまう。
セシリオが手に持っていた──魔法のランタンが落ちた。
──混濁する意識の中でセシリオは見た。
若い自分が、幼い子供が戯れている。
(セシリオのかおってどうなっているの?)
声変わりしていない甘い声がささやかれる。
背伸びして、その小さな手で、セシリオのフードを払おうとする。
悪気はない。
無邪気な好奇心だ。
(だめです!)
しかし、セシリオはその手を力いっぱい払いのけてしまう。
尻餅をついた、幼い子供が涙を浮かべた。
(すみません‥‥でも)
謝ろうとした瞬間、子供は血の海に倒れている。
セシリオが助け起こそうとすると、己の手に、何かがついたナイフがあった。
鋭く光り、切れ味は良さそうだ。
「──!」
ナイフは赤くどす汚れていた‥‥──。
「やめろ──く‥‥顔は見ないで」
「にいちゃん!」
痙攣するセシリオに、アレックスは懸命な声をかける。
「させませんよ!」
セシリオを守る為に、奮起するアレックス。
◆悪夢──始まらない朝‥‥太陽は昇らず
「な、なによー! リリィよりおっきいじゃないのよ! でも、なんとかなるわ! ゆうしゃさま、矢で──」
リリィが懸命にフェアリーボウに矢をつがえる。混乱しており、1秒でも早く、追い払うために戦技魔法は使わない。
ソレイユが魔法の成就に入っている。彼女の魔法、ルミナリィは持続時間の関係上、あまり乱発は出来ない魔法だ。
(かわす、それともルミナリィの‥‥)
魔法に専念、あるいは回避すべきか、判断が一瞬遅れる。
「く‥‥!」
そんな彼女の上腕部をえぐるダークラージバット。
ソレイユの意識が幻覚に侵食される。
──そこには獣がいた。
「──XXXX!」
「XXX‥‥XXX、X?」
「‥‥違う」
ソレイユにも誰かはわからない、ただ、自分を否定する言葉が浴びせられていることだけは分かる、いや分かってしまう。
まるで、ソレイユ、彼女自身を根本から非難するかのように。
産まれても生きてもいけないかのように。
おそらく、自分の記憶とは違う。
そう、違うはずだ、と思いたい。
なのに、自分は『誰か』に飛びかかり、首を絞めている。気管をつぶす感触が手に残った。
「ほーらやっぱり、ヒトゴロシだ」
あざけり笑う声。
「否定」
冷たい自分の声。
「怖くない」
自分に言い聞かせた。
そして、もうひとり、内なる獣に──
どこからか聞こえる声。
周囲を自分と『獣』に関する、悪夢が繰り返すが、少ししてそれは消えた。
「大丈夫ですか? にいちゃんが解毒薬を持っててよかった‥‥ソレイユ様があまりに苦しんでいたので」
アレックスが力づけるように、ソレイユに語る。
「ありがとう──」
ソレイユは言ってルミナリィを成就する。
その間もアレックスがフォローした。
ソレイユがルミナリィの視界で確認すると、ダークラージバットが5匹しかおらず──残りは幻影であることが判明する。
「まやかし」
◆誰も幸せになれない──生きる証、剣を取り戦いなさい
その事実をソレイユは手早く、ノワールたちに伝達する。
「了解である。指示を頼む」
ネットをかぶせるのでは無く、束ねてもってふりまわすノワール。
ダークラージバットの分身の幻影は消えない。しかし、普通のコウモリたちは逃げ惑う。
「ふむ」
ノワールの手で、普通のコウモリたちが、あらかた逃げ出したところで、アレックスが置いたトーチを拾う。
「借りるのである。いずれ倍返しである」
アレックスも、セシリオを守り、剣を取る。
「お気になさらず」
リリィも意識を取り戻したセシリオから事情を聞くと、怒りが燃えた。
「げんえいか、ひどいゆめかしらないけど‥‥おこった」
「にいちゃんを、よくも幻覚で‥‥」
アレックスも静かに怒る。
ノワールが担当している間に、アースアーマーなどを成就している、これで傷を負う可能性は、事実上なくなったのだ。
「斬りますよ!」
瞑想剣エアリオラが唸った。
この猛撃により、ラージバットは逃げ出すのだった。
「ふうむ。これが成果であるか」
ノワールが獲物を見た。
回収できた、ダークラージバットは、3匹だけだった。
1匹は原形をとどめず(なお、生のあるうちに、リコがリムーブカースで魂を安らげた)。
残りの2匹を捕獲に成功。1匹からはセシリオが毒を採取した。残り1匹は生きた状態で持ち帰った。
「ありがとう‥‥話通りのものだな。これなら──若い連中にウケが取れそうだ」
パイロ・シルヴァンがハウンドギルドで手に取ると、様々な処置と一同の奮戦をねぎらった。
パーティーに参加するか? との問いには、一同は丁重に辞退する。
しばらくして、ハウンドギルドに顔を見せた、パイロが語る。
ダークラージバットの味は、血抜きしきれない赤身魚のようなものだったらしい。
生臭いが、ギリギリ食べられる、との事。
「いやあ、ハロウィンパーティの話題はかっさらえたよ。来年も‥‥いや、Xmasもお願いしたいところだ」
「うけねらいよりも、おうどうのほうが、いいとおもうの」
とはリリィの弁だった。
「うちの亡くなったヨメさんみたいなことを言うな」
パイロは後頭部に手をやって、破顔する。
(苦労したのでござろうな)
リリィの微妙な表情を見て、ノワールは思考するにとどめた。
──ともあれ、ハウンドの戦いは‥‥つづく!
9
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参加者
| | a.こちらでいきましょう
| | アレックス・パーリィ(da0506) ♂ 28歳 カーシー(大型) ヴォルセルク 地 | | |
| | a.洞窟、とのことですので、明かりが必要そうですね。
| | セシリオ・レヴナント(da0545) ♂ 28歳 ダークエルフ ヴォルセルク 水 | | |
| | b.色違い、模様違いにはひとまずリムカしたいと思う。戦闘は弓矢と回復だ。
| | リコ・ポートマン(da1336) ♀ 23歳 カーシー(中型) カムイ 月 | | |
| | b.な、なによー!リリィよりおっきいじゃないのよ!でも、なんとかなるわ!
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| | a.動物は火を怖がるもの、トーチの火と剣で相手をさせて貰うのである
| | ノワール・トゥーナイン(da1749) ♂ 29歳 カーシー(大型) ヴォルセルク 風 | | |
| | a.単独行動、しない、死角、守る、多対多の、基本
| | ソレイユ・フォリー(da1795) ♀ 22歳 カーシー(小型) ヴォルセルク 陽 | | |
| | z.よろしくお願いします。
| | アシュラス・オボロ(da1803) ♂ 43歳 ダークエルフ マイスター 風 | | |
| | z.よろしくお願いします。
| | シレン・ホムラ(da1805) ♂ 25歳 ライトエルフ パドマ 火 | | |
| 細かいことは任せた‥‥あとは、健闘を祈る。他に何か言って欲しいか? | | |
悪趣味な狩り?
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悪趣味だが、ラージバットを騎士団のパーティーに出したい。びっくりさせるのが目的なので、原型をとどめて欲しい。特にドクロマークのついたコウモリの捕獲を頼む。細かいことは任せた。パイロ・シルヴァン
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