呪われたゴブリン

担当成瀬丈二
出発2019/05/23
種類ショート 冒険(討伐)
結果成功
MVPクルル(da0032)
準MVPリコ・ポートマン(da1336)
スレイン・ケファルス(da0586)

オープニング

◆1
 熱帯の森。そこは一年を通して温暖であり、他の地域より蒸し暑いぐらいの場所だ。
 動植物も豊富に生息するため、ここを住処としているエルフィンが数多く確認されている。
 しかし、危険を冒してでもこの森を調べようとする者もいる。
 あなたたちハウンドは学者のマックス氏に雇われて、その調査を護衛する任に当たっていた。
 調査の最中に危害を加えてくるものがあれば排除する。

登場キャラ

リプレイ

◆森の中にて──あるいはダークゴブリンの突入
 ハウンドに襲いかかろうとしているのは、いまだに邪神の呪いを受けているゴブリン。
 言い換えよう──ダークゴブリンである。
「さっくり、すっぱりやろうかのう?」
 イリス・ハーウェルはグリーヴァタチを手に、押し寄せるダークゴブリンを待つ。
 すでに戦技魔法シュライクを発動しており、相手が不利になったところで、ばっさりやるというプラン。
 水に落ちた犬は打ての理論。戦場では何も間違ってはいない。
 しかし、ダークゴブリンの脚は思ったより早い。
 イリスに加えて、アザリー・アリアンロッドエウロ・シェーアが矢面に立たされた。

◆狼の条件──あるいは前衛3人娘奮闘す
「ほら、わたくしの守りは打ち崩せません」
 エウロはこん棒で殴り回されても戦技魔法のガードにより、ほぼ、防具で防ぎきる。
 ガードの大きな長所の持続時間の長さは、ここでは大きなメリットとなったのだ。
 3匹のダークゴブリンが絶叫し、雄々しく踊ると、近寄ってきてヒステリックに打ち据える。
 しかし、有効打は‥‥さすがエウロだ、なんともない。
 エウロが感じたのは、ダークゴブリンの攻撃は、ただの攻撃とは違うようだ、と。
 加えてエウロ自身が、ガードの性質上、体さばきに頼ったり、武具で受けたりしないからだが、ダークゴブリンの攻撃は。動きのキレのわりには当たる‥‥ようだ。
 それは数秒の攻防。
「──ごぶ!」
「さて、反撃を致しますか‥‥覚悟はよろしいでしょうか?」
 耐えきったエウロ。彼女は静かに宣言した。

「くくく、的の方から近寄って来おったのじゃ」
 イリスは猛攻を耐え忍ぶ。幸運なことにダークゴブリンの狂乱しながらの攻撃でさえ、辛うじていなす。
 言い方は違うがビギナーズラックや、精霊の守護があったのだろう。
 とはいえ、一発受けてしまい、防具らしい防具を着けていないイリスは、色白の肌に青あざが浮き出た。
「私の愛刀は血に飢えておるのじゃ、ちょうどいいのう」

「こちらより早い? ゴブリンとは違うの!?」
 アザリーは左手のパリーイングダガーで受け流そうとするが、2匹のダークゴブリンに翻弄される。
 別段、高度な連携はしないが、やはり思ったよりは当たってしまうのだ。
 レザーアーマーごと打ち据えられるが、アザリーは耐える。ここを引けば『義姉』のところまで突破される、のだ。
 そして、アザリーは2匹のダークゴブリンの攻撃を耐えきった。
「そろそろ、地獄の炎に焼かれるのよ」

◆パドマ猛攻──あるいは月と火のシンフォニー残照添え
 この相手の進出は予想外だった。勝利のメソッドの、ファイアボムで一掃という訳にはいかなくなったのだ。
 しかし──。
「──ファイアボム。焼き尽くしてあげるわ‥‥なんてね」
 肉感的なアルマリア・アリアンロッドが呪文を唱え、魔法の杖を構えると、そこから火球が飛び出す。
 そのまま、火球は飛翔し、ダークゴブリンの後方に着弾し、炸裂する。
 かなりの相手が直撃を受けたようだ。
(すげーアルマリア、マジ女神)
 口に出したかった、シフールのクルルだが、魔法の杖を振って詠唱する。
「──スリープ」
 イリスを巻き込まないように、彼女を襲うダークゴブリン3匹を眠らせる。
 ダークゴブリンを起こさないように、イリスは胸の奥で喝さいを送る。
「いま、反撃の時じゃ」
「──ソル。無粋な方たち‥‥に相応しい懲罰を。太陽がある限り負けませんわ」
 クレシーダ・スカイイーストは、わずかに漏れてくる夕陽の光を紡ぎ、アザリーの前に放った。
 陽のパドマ魔法ソルだ。
 今は日が沈みつつあり、100パーセントの破壊力は期待できない。しかし、相手の注意をそらすには十分である。

◆カムイの時間──あるいは勝負の終わり
「アザリー様、お退きになってください。傷に障るのです」
 アザリーに後退を促しつつ、フォローのため、彼女の前の敵に矢を射る、スレイン・ケファルス
 しかし、アザリーは退かない。彼女には義姉妹の絆で守られた相手がいるのだ。
(銀の矢が特別効果があればいいのだが‥‥スレイン君だけでも、仲間の回復に関してはフォロー出来ると思うが)
 銀の矢を当てるのはリコ・ポートマンだ。前線に治療に出ることも考えた。
 しかし、彼女の守りではスレインの手間を増やすことになりかねない。
 迷っているのはガーベラだ。彼女は前に出ようとして、悩んでいる。
 その間にアザリーはミタマギリを武器に付与する。魔力抵抗しきれない相手から魔力を奪い去る攻撃だ。
 元よりのアザリーの計画の内だったが、相手が予想以上にもろいことから、あえて攻めに出るのだ。
 次の瞬間、エウロの一撃がダークゴブリンの頭に振り下ろされた。
 首を振って直撃を避けたダークゴブリンだが、刃はそのまま鎖骨にめりこむ。
──嫌な音がした。

「今、殺しの時じゃ!」
 イリスが、倒れたダークゴブリンの首をかすめ斬る、戦技魔法シュライクによる斬撃を放つ。眠ったままのダークゴブリンは力を失う。
 ダークゴブリンたちは起きようとするところに、ファイアボムとスリープの追い打ち。
 魔法への抵抗もできず、焼かれては倒れていく。さらにクレシーダのソルが決まる。
 そこにアザリーが確実に1匹1匹気絶させてゆく。
 リコが試したいことがあるので、と皆に頼み込み、1匹のダークゴブリンにリムーブカースを施す。
(少なくとも、今の僕の実力では、パドマ魔法や魔物法しか解除できない、でも試すだけでも)
 思いを込めて魔法を成就。しかし、ダークゴブリンは何も変わった様子はない。
「やっぱり、今の僕では無理か」

◆ハウンドたちの帰宅──あるいは若干の残念な出来事
 ハウンドたちが戻ってきた、キャンプの方では、カーソン氏がいたが、特に事件は起きていなかった。
「しかし、女性ばっかりとはマックスさんのシュミでしょうか?」
 リコはそんなことを考えてしまうのだった。
 多分ただの偶然だろう。あるいは女の強さか?

 そして、夜は過ぎて、夜明けごろ、起きだすふたつの影。
「じゃあ、ふたりで泉にでも、行きましょうアザリー」
「ええ、義姉さま」
 と、アリアンロッド姉妹はふたりの世界を作る。
 しかし、入った泉で、裸身にヒルなどが張りつく羽目になった。
 結局その辺りはスレインの世話になる。
「駄目ですわ、お二方。他の魔物などに襲われたら‥‥」
 少し、自然の厳しさを知ったアリアンロッド姉妹だった。

 クレシーダは、熱帯の森に関する調査、その手伝いを申し出た。
「とりあえず、今は護衛なのでそちらに専念してください」
 前置きする、マックス氏。
「しかし、今後の事を考えれば、協力者がいたほうが心強い」 
 そう言ってクレシーダに、いくつかの口頭でのテスト、人柄を知るための話し合いをする。
「五感が確かだし、経済などの知識は十分にある」
 最終的にはそう納得してもらえた。
「調査の最前線ならず、後方での帳簿つけなども手伝っていただきたい」
 ただ、今はできる事をお願いしたい、という事。
 クレシーダ──彼女は知識に近づく機会を見逃さない。
 ともあれ、一泊の調査の後、ほんの少しだけ平和になった熱帯の森を背後に、一同はローレックの街に帰るのだった。
──しかし、ハウンドたちの戦いは‥‥続く。



 10

参加者

b.あたしの魔法も見せてやろうじゃ~んっ!
クルル(da0032)
♀ ?歳 シフール パドマ 月
b.夜で無いならソルでキラーンと行きます。夜なら‥隠れてチクチクですね。
クレシーダ・スカイイースト(da0034)
♀ 25歳 ライトエルフ パドマ 陽
c.治癒はお任せくださいね。
スレイン・ケファルス(da0586)
♀ 33歳 人間 カムイ 水
a.闘争本能だけで勝てると思わないことね。
アザリー・アリアンロッド(da0594)
♀ 29歳 人間 ヴォルセルク 月
b.それじゃ、ドッカンとイクわよ?
アルマリア・アリアンロッド(da0672)
♀ 35歳 人間 パドマ 火
b.ガン黒がダークサイドの者であれば解呪してからとも思ったが、変わらないか
リコ・ポートマン(da1336)
♀ 23歳 カーシー(中型) カムイ 月
a.よろしくお願いします。
エウロ・シェーア(da1568)
♀ 38歳 カーシー(大型) ヴォルセルク 火
a.とりあえず落ち着いてから斬るのじゃぞ
イリス・ハーウェル(da1662)
♀ 22歳 カーシー(小型) ヴォルセルク 陽
 ウチは、ばっくあっぷや!
ガーベラ(dz0030)
♀ ?歳 シフール カムイ 月


熱帯の森のハウンドたち

もうすぐごぶ。腹いっぱいに食うごぶ(ガン黒ゴブリン談)。