オープニング
◆序
ハウンドもオフの日には散策するのも悪くない。
そんなこんなで、ローレックの街近辺を巡回する。
初夏と晩春の混合された大気と、陽気が心地いい。
そこに、奇妙な人影が行く手を阻む。
いや、ひとりと二匹だ。
殺気は感じない。
「貴殿らはハウンドか?」
ローブを着込んだ少女が問いかける。
◆承前
少女の脇に控える狼2匹。灰色のものと、褐色のものだ。
彼女自身は、頭をフードで覆い、足元までしっかりとしたローブで身を覆っている。
そして、腰のベルトにはムチを挟んでいるようだ。
「そのとーり! はうんどや。ウチらになんかよーか?」
真っ先にガーベラが肯定してしまった。
◆続く
「そうか、ハウンドか。ならば、一方的な願いをする」
少女は不敵な笑みを浮かべる。どうやら自信はありそうだ。
「勇者を目指すもの相手に、僕とこいつらの力試しをしたい。全員でかかってくれ給え。それなりに腕は立つ」
言って、指で狼たちをさしながら、一礼する。次の瞬間、腰のベルトからムチを手早く抜くと、地面を打ち据える。
脇で狼たちが戦闘態勢に移った。
「アーデル、ハイド、お前たちの本気を見せてやれ」
視線から察すると、灰色の狼がアーデル、褐色の方がハイドのようだ。
「よーし、そのけんか、かったでー!」
あくまで腕試し、ケンカではない。
◆始まり
そして、慌てたように。
「ちなみに僕はレティシア」
少女はそう言うと、口に何かを含む。
お互いの距離は10メートルほど。
察しが良く、話の間に後衛に下がったものは、もう少し距離が取れる。
ハウンドの戦いが始まる。
選択肢
a.レティシア相手 | b.アーデルの相手 |
c.ハイドの相手 | z.その他・未選択 |
マスターより
成瀬です、おでっくすは、ライブQ&Aが面白すぎました。来年もまた行きたいです。
レティシアは今まで問題になるような荒事は起こしていません。あえて捕まえることはせず、ハウンドの掟『自己研鑽を怠るな』という観点から、ハウンドたちは模擬戦として対応することに決めました。
なお、彼女は狼を従えていることから、猛獣使いと推測できます。
選択肢はどの相手との戦いを自分の見せ場にする、という観点から選択してください。
アーデルとハイドですが、どちらも牙を得意とする戦法が予想されます。
では、プレイング期待します。
登場キャラ
◆嵐の前
「今日は散策の予定だったからな、武器なんぞ持って来てねえし。よし! お前さんたちの戦い方、審判として、特等席で堪能させてもらおうじゃねえか」
腕組みをした
ヴォルフ・ファングが宣言。
「審判」
ベル・キシニアがヴォルフに問う。
「相手するのはいいが‥‥真剣で相手したら殺してしまう可能性があるが、いいんだな?」
意外なベルの発言。
「良くねえ‥‥不慮の事故ならともかく、実戦でもないのに故意に殺すほど、ベルが無能や残忍とは思ってねぇぜ」
全員に聞こえるようなヴォルフの言葉。
「ふむ。信頼には応える」
ちなみにレティシアは無言。しかし、首肯する。
「数で勝ってるからって油断すンなよ、連携じゃ向こうが上かもしれねぇ」
だから、と
ヴィゾン・ザガートは続けようとした、それは──。
自分の指揮下で動けば『ラクに戦える』ということだ。
チェスの戦術理論を、実戦で実践する。
無論、机上の空論や、思考遊戯ではない。
しかし、逆に考えてみた。
それは、ハウンドの仲間たちは独自の思考を持っており、自分が指示を出しても従うか?
あるいは、自由を愛する自分が、同じ提案をされたら乗るか?
『NO』だ。
ゆえに彼は、言わずに済ませた。
◆ハイドVS
「茶色いモコモコなヤツの相手志望ッス!」
茶系の大型カーシー、
フェルス・ディアマントが謎の対抗心を燃やす。
「相手が茶色でモコモコな狼なら、自分は茶色でモコモコ! かつムキムキなハウンドっス!!」
お互い茶色系同士、親和も反発もする‥‥のかもしれない。
「折角の腕自慢の力試しのお誘いなら断る理由はないッスね」
実に体育会系‥‥いや、バトル野郎な思考パターンだ。
「うーん、こっちかな‥‥?」
センスでハイドを相手に選んだ、
リザ・アレクサンデル。
結構こういうセンスは、莫迦には出来ない。
右手には真銀製のレイピア──。
そして、やり取りを止め、水筒内の水と、ヴォルセルク魔法で作り出した水の剣、ブレードofローレライ。
重く硬い右手の得物と、柔軟かつ氷の様に冷たい左手の得物だ。
近寄れば貫き、遠ざかれば凍てつかせる、近距離や中距離ではなかなかに莫迦には出来ない。
「本格的なテイマーだ! 凄い、ちゃんと言うこと聞くんだね。いい子たちだなあ‥‥ねえウィール?」
ウィールこと幼馴染の
ベドウィール・ブランウェンを見るリザ。
ひと呼吸置き、リザは話を続ける。
「こういう群れで動くような相手は、リーダーを抑えるか、連携を阻めば楽になるよ」
リザは言いながら、肩をすくめる。
一方──。
「では、私もこちらへ。リザのフォロー期待します」
言いながら、ベドウィールは『犬族最強決戦みたいになってきましたね』って顔のまま、まるでロン毛のダックス犬でも見るような、微笑ましげな目でリザをチラ見する。
次の瞬間、手にしたシノビブレードを見る。このミタマギリの魔法効果を付与した得物であれば、おそらく魔力が多くない相手なら、かなりの確率で無力化できるだろう。
ローレライも、ミタマギリも初級魔法では1分持たない。短期決戦だ。
「見せてもらいましょう、狼たちの実力のほどを」
後方でディレクトガガを成就させていた、
メイベル・ミストールが、硝子のガガを前に出す。
なお、もう一体、迂回させているガガもいるが、こちらが功を奏するのは、しばし時間がかかるだろう。
「歌えローレライ!」
叫ぶリザの左手の水剣から、水の刃がベール上に伸びて、一気に間合いを制する。
狼のハイドは懸命に躱そうとするが、変幻自在の軌道を読み切れず、首筋を浅く斬り裂かれた。
一気に息が荒くなる。凍結し、動きが鈍り始めたのだろう。
「もらったッス!」
そこへフェルスが飛び込み、投げ技から相手を引き倒しに入る。
──ハイドは宙に舞った。
「悪いですが」
投げられたハイドが、べドウィールのシノビブレードで傷つけられる。回避をしようとしたようだが、転倒してバランスを崩したままでは、そうもいかない。
ハイドはミタマギリの魔法効果を伴った一撃により、魔力を削られて、一気に気絶する。
快勝であった、皆の攻撃が気持ちよく決まり、それぞれが連携しあっていたのだ。
(伏兵はまだ健在、レティシアさん覚悟してください)
メイベルはDGSの奥で目を細めた。
◆レティシアVS
「──!」
ハイドの敗北を見て、レティシアも動揺の色を見せる。
ムチの動きが大きく揺れた。
一気に距離を詰める
ロビン・トラマリウス。
「ヴィゾンさん、良かったら指示をください。ムチは牛追いには使ったことあるけど、戦うのは初めてです!」
(武器としてのムチを想像して戦おう)
手の振りと手首の返しから、攻撃方向予測。
激しい音は耐えて、ムチを持っていない方の位置を基本に、ロビンはヴィゾンの指示をもとに考えを整理。
(味方への攻撃に合わせて全力で飛び込む、僕の考え、彼女も読んでる。チャージングには僕の動きが遅すぎる。ひっかけで、僕にも攻撃が来るかも――)
考えは多分、まとまった。
「攻撃が来たって、構わない!」
「いってやー!」
エールを送る
ガーベラ。
「突っ込め!! ムチは俺がどうにかする!」
ヴィゾンはロビンへ指示出しをし、自己もコマとしての戦力に数える。
「‥‥」
そして、無言のまま、ムチを薙いで使わぬレティシアに対し。
「ビビッて声も出ねえか!」
あえて、ヴィゾンは『安い』挑発を言い放った。
ロビンがグリーヴァダガーを手にレティシアに斬りこむ。一瞬遅れて、ヴィゾンにムチが飛んできた。
「甘い!」
槍に絡みつかせようとしたヴィゾンだったが、途中で軌道を変えるムチ。その奇手が彼の反射を上回り、右腕を打ち据える。
しかし、防御戦技『ガード』の魔法付与により、強化された防具は有効打を阻む。
おそらく引き倒そうとしたのだが、ヴィゾンは踏ん張り、それを許さない。
「もうちょい、艶っぽくやろうぜ」
不敵な笑みのヴィゾン。
そこでレティシアが急にバランスを崩す。
見ればメイベルのウッディガガが、レティシアの膝を後ろから押しまくっている。
ヴィゾンはミラベルが親指を立てているのを見て、笑みを返す。
「レティシアさん覚悟!」
ロビンが斬りかかるが、レティシアはムチを手放し、倒れ込みながら斬撃をかわす。
「押し倒せ!」
ヴィゾンが指示出しをするより早く、ロビンはグリーヴァダガーを持って馬乗りになろうとする。
「あなたの負けです──レティシアさん」
ロビンは緊張しながら宣言。
レティシアは横を向くと、口から何かを吐き出した。笛の様にも見える筒だ。
「私の負けだ」
その言葉にレティシアはうなずく。
「勝負あり!」
ヴォルフも確認した。
「なんや? これ」
ガーベラは不思議そうに筒を見る。
「返してもらえないか?」
レティシアの言葉に手渡すガーベラ。
「これなんや?」
そう問うガーベラ。
「獣を扱うための特別な笛だ、人には聞こえない音が出る」
律儀に答えるレティシアだった。
◆アーデルVS
「では残った1匹は私が頂きますね」
エウロ・シェーアは言ってボーラを放る。
風を切る重量物。上に跳び、灰色狼アーデルはそれを避けきった。
エウロとしては、ここに斬撃を浴びせたいところだが、近距離武器と遠距離武器で同時に攻撃するのは難しい。
「来い狼、戦ってやる」
しかし、ベルは自身のルーチンに従い、踏みこんでグリーヴァブレードの斬撃を放つ。
「待った。私もアーデルさんを相手にするよ」
言いながら
レナ・ゴールドマンが、巨剣──ヒュージクレイモアを振り回しつつ斬りこむ。
それらの斬撃を必死にかわすアーデル。
なお、ベルの熱い視線が、クローズヘルムの奥からレナに注がれている。
おそらくこれは『この剣が欲しい』ではなく『この剣を持ったヤツと戦いたい』という事だろう。
しばらく、アーデルの回避に徹した戦い方が続く。エウロも加わり、アーデルはじり貧。
ベルは『スキを見ての反撃狙い?』と考えもするが、それにしては徹底している。
一方、レナは何か違和感を感じた。急にアーデルの動きが変わり、レティシアの元に近寄ろうと動く。
それに気づいたエウロは、ボーラを投げて動きを封じる。
かわし切れないが、一同の視線がレティシアの方を見た。レティシアが負けを認めた瞬間だ。
「なるほど。陽動だったか」
自分たちを引きつけるために、アーデルは動いていた、とベルは得心する。
◆風──吹いている
ヴォルフがハウンドたちの勝利を宣言。模擬戦はおわった。
レナが作った軽食を食べる、異常なまでに美味く、バターがマッチした料理だ。
「ふむ勉強になったな」
ヴィゾンがレティシアの基本戦術を聞き納得する。
こちらが各個撃破出来る可能性をちらつかせ、相手を分散させる。
狼たちは防御に徹し、時間を稼ぐ。
自分の所に来た相手は、時間をかけてでも、確実に倒す。
「頭数を減らしたら狼が合流するってか? クク‥‥」
笑いどころでもないのに、ヴィゾンが腹を押さえる。
「クスクスクス」
レティシアも口元を押さえる。
「こ、これ面白いのですか? やっぱり、都会は違うな」
感心するロビン。彼は後に『エシソンのバター』という魔法を使ったのだと聞かされることとなった。
一風変わった散歩はここまで。
フェルスは挑戦者たちの傷を、銀Cureのメイスで癒した。これにより、気持ちよくレティシアと、そんな彼女に付き従う狼たちと別れたのだった。
「次は一方的な戦いにならないように気をつける」
振り返り告げられたレティシアの言葉だ。
ベルいわく。
「期待する」
ガーベラも言葉で返す。
「かえりうちや!」
「こちらこそ期待している」
レティシアの、その言葉を胸に、ローレックの街に帰るハウンドたちだった。
しかし──ハウンドたちの戦いは続く。
12
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参加者
| | c.茶色いモコモコなヤツの相手志望ッス(なぞの対抗心)
| | フェルス・ディアマント(da0629) ♂ 22歳 カーシー(大型) ヴォルセルク 地 | | |
| | a.よろしくおねがいします!ソレじゃあ僕は……レティシアさんに!
| | ロビン・トラマリウス(da0734) ♂ 20歳 カーシー(中型) ヴォルセルク 陽 | | |
| | c.うーん、こっちかな…?
| | リザ・アレクサンデル(da0911) ♂ 23歳 人間 ヴォルセルク 水 | | |
| | c.見せてもらいましょう、狼たちの実力のほどを。
| | メイベル・ミストール(da1050) ♀ 20歳 人間 マイスター 水 | | |
| | c.では、私もこちらへ。
| | ベドウィール・ブランウェン(da1124) ♂ 27歳 人間 ヴォルセルク 月 | | |
| | a.ンじゃ俺も女にするかぁ!
| | ヴィゾン・ザガート(da1240) ♂ 34歳 人間 ヴォルセルク 地 | | |
| | b.では、アーデルさんを相手にするよ
| | レナ・ゴールドマン(da1337) ♀ 23歳 カーシー(大型) ヴォルセルク 陽 | | |
| | b.ふむ、では私もここにしよう。
| | ベル・キシニア(da1364) ♀ 28歳 人間 ヴォルセルク 風 | | |
| | b.では残った1匹は私が頂きますね。
| | エウロ・シェーア(da1568) ♀ 38歳 カーシー(大型) ヴォルセルク 火 | | |
| | a.レティシアに突っ込んで転倒狙うんで攻撃合わせてくれると助かるぜ
| | ヴォルフ・ファング(da1648) ♂ 35歳 カーシー(大型) ヴォルセルク 火 | | |
| れてぃしあはん、みみから、てをつっこんで、おくば、がたがたいわせたる! | | |
へんなこと、おおかみや
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きいてや、へんなムチつかいのおじょうちゃんと、おーかみたちがでたんや。お! はうんどにけんかうるんか!? したら、もぎせんや! いのちまではとらん。はうんどのすごさみせたるで。
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