強襲! イナズマ山賊団!

担当成瀬丈二
出発2019/05/15
種類ショート 冒険(討伐)
結果成功
MVPベル・キシニア(da1364)
準MVPレナ・アルバスティ(da1615)
アルマリア・アリアンロッド(da0672)

オープニング

◆テーヌ川を右に見つつ
 ハウンドギルドに商人のガーブ氏から依頼が来ていた。
 彼の商隊を護衛する依頼だ。
 ウラートまで行く3台の荷馬車(二頭立ての二輪車だ)を行きの間、守って欲しい。
 そう、ローレックの街から、ウラートに続くウラート街道。そこは周辺に比べればマシだが、安全とは限らない。
 山賊や強盗が出るのは珍しくない。

登場キャラ

リプレイ

◆血風渦巻く
 真っ先に飛び出す影!
「いくよ!」
 それはグリーヴァタチ、そしてシノビブレードを構えた、レナ・アルバスティが、愛犬とともに、後方の山賊たちに斬り込む。
「全ていただく、か。つまり、お前もすべてを失う覚悟なんだな? ヴィクター」
 淡々としているのは──ベル・キシニアの言葉。
 それに対し、山賊の副リーダーであるヴィクターは、一種投げ槍とも言える笑みを浮かべる。
「失う──だ? それは何かを持っているヤツの言葉だな。これ以上失うものなどない」
「いい覚悟だ。満足させてくれ」
 グリーヴァオオダチを構えて、ベルは前進。あえて、互いの間合いを踏み越え、ヴィクターに打ち込む。
 ヴィクターはその一撃を弾き、その上で肉薄する。
「ふぅ」
 間合いを取りにくくなったが、相手も逃げる気はない。ベルにはそう思えた。
(楽しみだ)
 ヴィクターは脚技のけん制から、剣により、わき腹を薙ぐ一撃に移る。
 しかし、ケレン味が多い言動のわりに、動きにムダはあまりない。我流だが剣のスジはいいだろう。
 ベルは無意識に判断する。
 しかし、ベルはとっさに体をひねり、躱そうとする。
 躱しきれない! しかも、向こうに相当『運』があったのか、魔法で強化されたレザーアーマーの守りを斬り裂く一撃を受けた。
 わずかに血がにじみ、痛みが走る。もっともベルは意に介さない。
 ヴィクターは勢いに乗ったが、ベルはそうはさせず、ヴィクターの腕をつかむ。
「!」
 相手の表情は変わる。ベルの表情はヘルムに隠れて見えない。
 そのまま、ベルは一瞬のためらいもなく、投げ技の体勢に入った。
「ヴィクターの姉御!」
 山賊たちの間から声が上がる。

 一方レナは後方かく乱に回っていた。
 彼女の全力を尽くす。
「秘技‥‥二刀連撃破!!」
 上下から打ち寄せる一撃だ。しかし、山賊は何とか片方は得物で受け止める。
 戦技ダブルアタックをしのぐ──山賊が強いわけではない。
 レナが両方連続で有効打を与えるには、刃が山賊に届かなかったのだ。
 あとは若干の運‥‥戦場に出れば出るほど、これは実感できるかも──しれない。
 若干の運は、あくまで『若干』だ。
 なので、レナの愛犬『レキ』が自発的に、足元を襲うことまでは避けられない。
 山賊は一瞬虚を突かれる。
「さて、もう終わりかな?」
 レナの緑の瞳が、射貫く如き眼光を発した。
 答えは、ない。
「受けて散りなよ、秘技‥‥二刀連撃破」
 今度こそは、レナの連携攻撃をかわし切れず、ひとりが倒れ伏した。
 切っ先から血のしずくが一滴、落ちる。
「やるじゃあ、ねえか! 俺も黒髪の女と戦わせてもらうぜ」
 ヴォルフ・ファングもヴィクターとの戦いに参加。
 彼は相手の戦闘力を奪うことに専念する。
 戦技抜きで、女を斬らずに気絶させるというのは難しい。
 しかし、ヴィクターが放り投げられた今は、ヴォルフにとって、絶好のチャンス!
 馬乗りになり、逆手でナイフをのど元に突きつける。
「さあ、本物のリーダーさんよ。負けたからには素直になってもらうぜ」
「何のことだ?」
 相手にごまかしや、欺瞞の色はない。
「‥‥天然じゃねぇか」
 そう見てとったヴォルフ。盛大に自分の読みが外れ、落胆せざるを得なかった。
 ベルは、ヴィクターの剣を、少々強引にもぎ取る。
「ふぅ‥‥満足した」
「じゃあ、このロープでふん縛ってくれや。俺は赤毛の方に向かうぜ」
 そう言い置いて、ヴォルフは後尾を後にした。
 ベルはロープをきつめに縛り、ヴィクターを無力化する。
「さて、山賊たち──あれ?」
 レナを半包囲した山賊たち。そこに今まで数に押され気味だったレナが、威圧し返す。しかし、山賊たちは後方に逃げていく。
 ヴィクターがそれだけ頼りだったのだろう。
 ──後尾での戦いの趨勢は決まった。

◆魔女たちと、射手たちと、その他
 一方、中央の馬車では──。
「やれやれ、おいらのポカミスだねぇ。まあ、大勢に影響はないみたいだしぃ」
 ヴェスパー・ベントは、グリーヴァヒゴユミを構えている。
 先ほど気づいたのだが、ヴェスパーはCROSSを身に着けてはいなかった。
 一方、アレッタ・レヴナントアルマリア・アリアンロッドのふたりは呪文の詠唱中。
 魔法の杖を握るが、アレッタは自分のルナに関する条件づけで、『一番遠い、隠れている敵』というのでは、難しいと考え『一番近い敵』と、条件を変えて成就する。
 果たしてルナは的中し、茂みの中に飛び込む。苦悶の声があがった。
 アレッタは、少し笑みを浮かべる。
「丸見え!」
 山賊は深手ではないが、自棄になったらしい。
「やったで!」
 ガーベラは今までのパニックが嘘の様に、右こぶしを突き上げる。
「山賊は嫌いだから」
 言い置くアレッタ。次の魔法の成就に入る。
「前の方は少し危ないねぇ。でも──!‥‥そこっ!」
 ヴェスパーは前方に射るはずだった、ヒゴユミをとっさ街道脇の茂みに射る。
 悲鳴が上がる。
「足音くらい隠したほうがいいよぉ。あと、体も洗ったほうがねぇ」
(どうやら、この伏兵たちを前に行かせない方がフォローになりそうだなぁ)
 茂みから3人の山賊が現れる。
 そこに向かって、アルマリアはファイアボムを成就して炎の弾をぶつけた。
 爆発が巻き起こる。
「バカを爆破する‥‥楽しいわね。私の好きな事は2つ。肉欲を満たすことと‥‥魔法を撃つことよ。山賊相手なら気兼ねなく楽しめて素晴らしいわ。さあ、まだ生きているんでしょ? 早く立ちなさいな」
 山賊たちは明らかに浮足立ったようだ。
「あら、元気なのね?」
 そこでアルマリアは見下すような視線で。
「──でも、それだけ」
 そう言って成就を始める。
 その間に山賊がひとり倒れた。ヴェスパーの弓の手腕だ。
 アレッタがルナを成就し、更にひとりに追い打ち。
「じゃあ、おやすみなさい」
 アルマリアは最後の山賊に向かってファイアボムを成就。
 もったいない、そう感じる。しかし、アルマリアは手札は、ファイアボム以外ない。
 受け太刀になると負けだ。
「矢はもう少しあるから、大丈夫だよぉ」
 ヴェスパーは言って、爆風の中から飛び出した山賊に正面から矢を射込む。
 悲鳴の後、山賊は倒れ伏した。
「ほら、どうにかなったぁ」
 言ってウィンクをする。
 その脇をヴォルフが駆け抜けていった。

◆悲劇の場
「そんなナマクラ程度、それで相手になると思うのなら、かかってらっしゃい。かえりうちですわ」
 エウロ・シェーアはグリーヴァオニキリを構えながら挑発の言葉を並べる。
 しかし、両手にシールドソードを装備した、ハヤト・アステールも含めて、守りが固そうなのを見て、イザベラはまず手下たちをぶつけることにしたようだ。
「構わん──やれ」
 押し殺した声で指示を出すイザベラ。
「あんたを相手にしたいのはヤマヤマだが、まずはザコの相手をする必要があるようだな。報酬分はきっちり働くぜ」
 言ってオフシフトを成就する。
 ハヤトは山賊たちの繰り出される短剣を華麗な足さばきと、両手の盾でさばいていく、その様、戦場を疾る紅き雷嵐であった。
「ちょっと、お仕置きしてやるぜ‥‥男相手ではつまらんが」
 エウロはハヤトの後始末に回る。ハヤトは手数を重視した傾向。
 しかし、エウロは逆に確実に当て、確実に傷を与えていく傾向だ。
 そこにヴォルフが駆け込んでくる。
「どうやら、間に合ったみてぇだな」
 とのヴォルフの言葉。
「わたくしはまず、イザベラをつぶしますわ。後はご自由に」
 エウロはかかってくる山賊の短剣を、ハヤトとは対照的に、覆った防具で防いでいく。中にはラッキーヒットで抜いてくるものもいたが、とりあえず無視する。
 ザコ山賊を振り切りイザベラと向き合うハヤト。その均衡を破り、エウロがイザベラの戦いに参戦。
 それまで、ハヤトは両手のシールドソードで食い下がっていた。
 しかし、ハヤトの変則的な打撃手段と、疾風のごとき立ち回りをもってしても、ハヤトもイザベラも、互いに決定打が出ていなかった。
 そんな膠着状態が破られた。
 エウロはボーラを投げる。
「ハヤトしゃがんで!」
 風を切るボーラの音と注意喚起に、ハヤトの身体が無意識に動いた。
 イザベラにボーラが絡みつき、動きが鈍る。
 ハヤトは体当たりをかけ、動きが鈍ったイザベラを押し倒す。
「さて、お仕置きの時間だぜ──それとも、降伏するか? あっちのデカイねーちゃんは、それを望んでいるみたいだからな」
 こうして、イナズマ団最後の戦いは終わった。
 なお、捕まえた山賊は7人。逃亡したのは6人だ。
 それはさておき、デカイねーちゃんとはエウロの事だろう。彼女は手傷を回復用の飲み薬で癒す。
 こうして、ウラートの街まで、ガーブ氏を連れたハウンドたち。
 依頼を終えたのちに、捕まったイナズマ団がどうなったかは伝聞で聞くことになった。

 ローレックの街への帰り道の途中で、ガーベラはアレッタとレナと仲良くなる。
「ガーベラ、カムイなんだから、もう少し落ち着こうね」
 アレッタは、ガーベラの頭をポンポンとたたいて、注意する。
「せやな、もうすこし‥‥おちつかんと、あかんな」
 一方で、レナはやっぱり、ガーベラの頭をなでつつ。
「ガーベラちゃんっていうんだよね? 可愛い!」
「れなはん、ウチ、かわいいっていわれるより、かっこええ、っておもわれたいんやけどなぁ」
 ガーベラがぼやく。
「うん‥‥そういうとこ可愛いね」
 レナは笑う。
 アレッタは思った。複雑だな、と。
「まあ、これもええおもいでや、がーべらと8にんのはうんど、いなずまだんをたいじするちゅうな」
 エウロはそろそろご飯だ、と3人を呼ぶ。
「これを食べて少し踏ん張れば、ローレックの街ですわ。お疲れさまでした」
 そう、間もなくローレックの街。
──しかし、ハウンドの戦いは続く。



 11

参加者

a.女…山賊…だと…?!これは合法お仕置きのチャンス!?←×俺は頭狙いだ!
ハヤト・アステール(da0375)
♂ 23歳 カーシー(中型) ヴォルセルク 風
c.射程はある方だし、遠距離かね?伏兵いないかルナで一発調べようか。
アレッタ・レヴナント(da0637)
♀ 25歳 人間 パドマ 月
c.さ、バカを爆破する楽しいお仕事をしましょ?
アルマリア・アリアンロッド(da0672)
♀ 35歳 人間 パドマ 火
b.頭……は、すでに相手がいるな。では、副リーダーを頂こう。楽しみだ……!
ベル・キシニア(da1364)
♀ 28歳 人間 ヴォルセルク 風
a.そんなナマクラが私に通じると思うのならかかってらっしゃい。
エウロ・シェーア(da1568)
♀ 38歳 カーシー(大型) ヴォルセルク 火
c.得物が得物だからねえ、端っこにはいけないよねえ。
ヴェスパー・ベント(da1605)
♂ 36歳 カーシー(小型) カムイ 風
b.ヴィクターーって言う人は強いのかな?
レナ・アルバスティ(da1615)
♀ 20歳 人間 ヴォルセルク 風
a.可愛い姉ちゃんのお相手でもさせて貰うとするぜ
ヴォルフ・ファング(da1648)
♂ 35歳 カーシー(大型) ヴォルセルク 火
 な、なんやてー!
ガーベラ(dz0030)
♀ ?歳 シフール カムイ 月


イナズマ団参上!

荷物を全部よこしな! 40秒で支度するんだよ!(ウラート街道沿いのありがちな風景)。